「個別最適な学び」といった言葉が流行っています。
しかしながら、これがなかなか難しい。
まずは、「時間の保証」の問題があります。
放課後にやらせるだとか自宅課題にするなんていうのは無理。
そもそも大人ですら、勤務時間後や自宅で自己研鑽に励んでいる割合は少ないと思います。
*意識の高い高校生は放課後の学習室や自宅で自分の課題をこなしますので、個別最適な学びを実践しているのですが多くの高校生には無理ということです。
となると、授業時間内に個別最適な学びの時間を保証しなければなりません。
しかし、多くの教師は一斉(指導)授業に慣れすぎていて、自分の授業時間を生徒個人に任せるというのは難しそうです。
一斉(指導)授業でなくても、グループ活動止まりで、生徒が個々のレベルで個々の課題に取り組む時間を保証している教師は少数派だと思います。
たとえ、授業内に個別最適な学びに時間を確保していても週一回だけなんて話も聞いたことがあります。
次に、「生徒個人のやる気」の問題もあります。
せっかく授業内に個別最適な学びの時間をとっても、肝心の生徒が「ぼーっと時が過ぎるのを待つだけ」なんて話も聞いたことがあります。
「個々に適切な課題やレベル→進む→楽しい→継続」にはならないのです。
教師にとって、ぼーっと時が過ぎるのを待つだけの生徒を見るのは苦痛です。
結果、教師は一斉(指導)授業を好むようになります。
私自身は現在、個別最適な学びを授業(英CⅡ)に取り入れています。
50分授業の最初の25分は教科書を使って一斉(指導)授業。
次の12分はChatGPTを使った英会話。
最後の13分はアプリを使った英単語学習。
時間の保証の問題は、毎回の授業時間の半分を割くことで対応しています。
やる気のない生徒の問題は、次のように考えるようにしています。
一斉(指導)授業でも、やる気のない生徒は実はぼーっと座っているだけである。
やる気のない生徒だけではなく、やる気のある生徒にも目を向ける必要がある。
ChatGPT英会話については難しさも感じています。
英単語アプリのような受け身の学習は生徒はどんどんこなしていきます。
しかしながら、ChatGPT英会話のような、自分がイニシアティブを取らなければならない学習については、テキパキとこなしていくのは難しいようです。
さらに、ChatGPT英会話は周りに級友がいる環境でiPadに話しかけなければなりませんが、「自分おのが隣の人の邪魔になってしまったら」といった気持ちも働くようです。
結果、ChatGPT英会話の時間はただぼーっと時が過ぎていくのを待っている生徒ばかりでした。
それでも、私自身が教卓でChatGPT英会話を忍耐強く続けていくと、徐々にChatGPTに話しかける声が聞こえてくるようになりました。
個別最適な学びを実践する上での最重要要素は教師の忍耐なのかもしれません。